ホーム > 汲古叢書180 『漢書』の新研究

汲古叢書180 『漢書』の新研究  新刊

――その董仲舒像を中心として――

汲古叢書180 『漢書』の新研究

◎『漢書』の「構造」に迫る画期的論考なる!

著者 小林 春樹
ジャンル 東洋史(アジア)
東洋史(アジア) > 殷周秦漢
シリーズ 汲古叢書
出版年月日 2023/02/22
ISBN 9784762960796
判型・ページ数 A5・228ページ
定価 7,700円(本体7,000円+税)
在庫 在庫あり
 

目次

序 章

第一部 『漢書』篇

 第一章 『漢書』帝紀の檢討
       ――「高帝紀」から「成帝紀」における帝王觀・皇帝觀と漢王朝觀を中心として――
 第二章 『漢書』「外戚傳」の檢討
 第三章 『漢書』「元后傳」の檢討
 第四章 『漢書』「王莽傳」の檢討
 第五章 『漢書』の[谷永像]の檢討
       ――『漢書』の本傳と「五行志」における[谷永像]の比較による檢討――
 第六章 班彪と班固の王朝觀、および帝王觀・皇帝觀
      ――「王命論」、「典引篇」、「兩都賦」、
              およびそれぞれの本傳を中心とした檢討――

第二部 董仲舒篇

 第一章 『漢書』「董仲舒傳」所引の「天人三策」における[董仲舒像]
 第二章 『漢書』「五行志」所引の「高廟園災對」における[董仲舒像]
 終 章
                              
文 獻 表
あとがき
索 引

このページのトップへ

内容説明

【序章より】
 筆者は、『漢書』とは以下の諸點を證明するために著された、「頌『後漢』の書」 であると考える。
第一:前漢王朝が、上代の聖帝・堯の後裔であるとともに、「漢」王朝の「受命の君」とされる高祖劉邦(以下、基本的に高祖と記す)によって建國された王朝であること。
第二:しかしながら前漢王朝は、「亡國の君」ともいうべき成帝の言行や施政によって外戚王氏が臺頭し、その筆頭者である王莽の簒奪によって不可避かつ必然的に「滅亡」した王朝であったこと。
第三:同時に、王莽と彼の「新」王朝も閏位の帝王と王朝にすぎなかったこと。
第四―一:そのような前漢王朝と、王莽と「新」王朝のあとを承けて「再受命」によって登場し成立したと考えられた世祖光武帝劉秀(以下、基本的に世祖と記す)と後漢王朝こそ、「眞」に神聖なる帝王と王朝であること。
第四―二:換言すれば『漢書』とは、前漢と、王莽と彼の「新」王朝、それぞれの「滅亡」の不可避性や必然性を論證することによって、眞の聖帝であり神聖王朝である世祖と後漢王朝が「再受命」して登場し成立するための、「必須の前提條件」を提供することを重要な著述目的とした著作であった。
 そのような『漢書』理解の正しさを證明するために、本書では、その前半部分にあたる第一部『漢書』篇においては、『漢書』の「高帝紀」から「王莽傳」に至る帝紀や列傳の記述を詳細に検討する。
 そのうえで、後半部分にあたる第二部董仲舒篇においては、現在でも聚訟の府の觀を呈している、 [『漢書』に示された董仲舒像]の實態を檢討し、第一に、それが、「『儒教の官學化』を實現した大儒」としてではなく、「三段階的災異説」と筆者が命名した災異思想を提唱した「『春秋』災異學者」として理解するべきものであること、第二には、そのような董仲舒が提唱したとされる「三段階的災異説」が、第一部における檢討から抽出された[『漢書』像]、さらに嚴密に言えば[『漢書』の「構造」]を成立させるとともに、それを支えるという、きわめて重要な役割を果たしていることを論じる。

このページのトップへ