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平家物語評判書集成  新刊

平家物語評判書集成

◎平家物語評判書の世界に光を当て、軍記評判・近世軍書・『平家物語』受容史の中に位置づけ直す!

著者 森田 貴之 編著
樋口 千紘 編著
畠中 愛美 編著
ジャンル 日本古典(文学)
日本古典(文学) > 中世文学
日本古典(文学) > 中世文学 > 軍記物語
日本古典(文学) > 近世文学
出版年月日 2024/02/20
ISBN 9784762936883
判型・ページ数 A5・794ページ
定価 18,700円(本体17,000円+税)
在庫 在庫あり
 

目次

序  言 (森田貴之)
凡  例


《本文篇》

 平家物語評判秘伝抄 巻第一上~巻第十二下
 (底本:東北大学附属図書館狩野文庫蔵慶安三年刊本)

 平家物語評判瑕類  巻第一~巻第五
 (底本:東北大学附属図書館狩野文庫蔵正徳二年刊本)


《研究篇》

 平家物語評判書の世界――その環境と相互関係―― (森田貴之)
   一、成立と作者
      版行
      作者伝承
      医学、講釈との関わり   
   二、構成と内容
      「評」
      「伝」    
   三、後継類書との関係
      『平家物語評判瑕類』
      『平家物語抄』
   四、おわりに

 『平家物語評判秘伝抄』人物論――重衡「評」―― (畠中愛美)
   一、はじめに      
   二、大将軍重衡への評価  
   三、女性達との交流への視線
   四、重衡の最期への言及 
   五、おわりに

 『平家物語評判秘伝抄』〈伝〉の創作性と説話伝承――文覚・鬼一法眼―― (樋口千紘)
   一、はじめに      
   二、「軍師」としての文覚
   三、鬼一法眼と兵法書
   四、おわりに


あとがき(樋口千紘)
『平家物語評判秘伝抄』『平家物語評判瑕類』固有名詞索引

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内容説明

【「序言」より】(抜粋)
 本書『平家物語評判書集成』は、近世初期に成立した、軍記物語『平家物語』に対する評判書『平 家物語評判秘伝抄』(慶安三年(一六五〇)刊)およびその『平家物語評判秘伝抄』を批判した『平家物語評判瑕類』(正徳二年(一七一二)刊)を併せて収めた。
 近世期の軍記評判については、『太平記秘伝理尽鈔』に代表される『太平記』評判の世界が思想史上また文学史上注目を集め、その研究が進展しているが、『平家物語評判秘伝抄』については辞典類には記載されても、『太平記』に比して研究者の多い『平家物語』研究の状況を鑑みれば、部分的には参照されるほかは、作品としてはほぼ等閑に付されてきた感もあった。また、『平家物語評判瑕類』に関しては、その本文全体の翻刻もなされていなかった。……自身が『太平記』研究に取り組みつつ、上述の『太平記』評判研究の成果に触れるなかで、『太平記』に限らない軍記評判の世界を明らかにするためには、『平家物語評判秘伝抄』を容易に参照可能な形とし、その世界を相対化する視点を提供してくれるだろう『瑕類』を併置しておく必要性を感じていた。本書が軍記評判研究に少しでも寄与するところがあれば幸いである。

【「平家物語評判書の世界」より】(抜粋)
 『平家物語評判秘伝抄』(以下『秘伝抄』)は、流布本『平家物語』(片仮名整版本の類か)に基づく物語内容を簡略に引用、提示したあとに、「評に曰く」として、登場人物の行動などに対する批評を載せ、さらに時には「伝に曰く」として、『平家物語』本文には見られない異説・異伝などを掲出する形式の作品である。この形式は、近世に人気を博した「太平記読み」に由来する『太平記秘伝理尽鈔』の形式を踏襲するもので、『平家物語評判秘伝抄』という書名も明らかに『太平記秘伝理尽鈔』の版本としての書名『太平記評判秘伝理尽鈔』を襲うものである。
 『平家物語評判瑕類』は、その書名(原題「瑕類〈平家物語評判〉」か)の通り、「平家物語評判」の瑕疵を並べたもので、『秘伝抄』の直接的な受容作として、『秘伝抄』の刊行後およそ六〇年以上を経て刊行された。本書は、『秘伝抄』の「評」や「伝」の一部を引用し、それに対して「按じて曰」「案ずるに」などのかたちで自身の按語を付し、その評判内容を厳しく批判している。その対象は立項されたものだけでも計一四二条に及ぶ。

【本書の特色】
○本文篇 『平家物語評判秘伝抄』全二十四巻二十四冊の全文、及び、『平家物語評判瑕類』全五巻全五冊の全文を掲出する。本文作成にあたっては、底本の形態を尊重しつつ、読解の便を考慮し、適宜改めたところがある。また、両書における対応が相互に参照できるよう以下のようにした。
 『平家物語評判秘伝抄』:評判の対象となった『平家物語』本文の引用箇所は、その初出箇所において、ゴシック体で示した。また、『平家物語評判瑕類』において、見出しとして取り上げられている箇所には【瑕類1】〜【瑕類142】の通し番号を挿入した。

『平家物語評判瑕類』:見出しとなった『平家物語評判秘伝抄』本文箇所に【1】〜【142】の通し番号を付し、
『平家物語評判秘伝抄』との対応を示した。また、見出しおよび本文で取り上げられた『平家物語評判秘伝抄』本文の引用箇所はゴシック体で示した。

○研究篇 『平家物語評判秘伝抄』の基礎的理解につながり、また今後の研究課題を提示する論考三篇を収録。一篇は、総論的な解題論文として、『平家物語評判秘伝抄』作品全体に関わる研究状況を整理するとともに、成立・作者環境、作品内に引用される書物を含めたその思想的環境、併録される『平家物語評判瑕類』および『秘伝抄』受容作の一つ『平家物語抄』との関連を論じた。ほか二篇では、それぞれ主に『平家物語秘伝抄』の「評曰」および「伝曰」の内容を具体的に取り上げ論じた。

○索引 『平家物語評判秘伝抄』『平家物語評判瑕類』両書に出現する、人名・地名・書名等の固有名詞を、現在通行する読み・仮名遣いに基づいて整序立項し、その出現章段を示した索引を付した。

○目次および『秘伝抄』『瑕類』章段名 本文検索・利用の便をはかり、『平家物語評判秘伝抄』版本各巻冒頭の目録や作品中の章段表記ではなく、評判の付された『平家物語』流布本本文での章段名を用い、章段名の脱落箇所には章段名を補い、二章段にまたがる内容を一括して扱っている場合は章段名を並列して示した。

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